高血圧
高血圧とは
医療機関で測定する場合、血圧が140/90mmHg以上あると高血圧症と診断されます。自宅で計測する場合は、135 /85 mmHg以上を高血圧症とします。高血圧になると血管に常に負担がかかるため、血管の内壁が傷ついたり、柔軟性がなくなったりして、動脈硬化を起こしやすくなります。40-74歳では男性の60%、女性の41%が高血圧があり、75歳以上では男性の74%、女性の77%が高血圧があると言われております。
高血圧を放置するとどうなる?
多少血圧が高くても、自覚症状がないのがふつうです。しかし高血圧により動脈硬化が進行しますと脳卒中(脳出血、脳梗塞)や虚血性心疾患(心筋梗塞や狭心症)、腎硬化症等を発症するリスクが上昇します。場合によっては命を落としたり、寝たきり、透析に至ることもあるため血管が障害される早い段階での血圧コントロールが望まれます。
家庭血圧の測り方
当院では高血圧治療ガイドライン2019の示す測定条件に基づき、家庭血圧の測定を指導しております。
・朝は起床後1時間以内、排尿後、朝の服薬前、朝食前に、座位1-2分の安静後に測定する。
・晩は就寝前に座位1-2分の安静後に測定する。
・朝、晩ともに原則2回測定し、その平均を血圧値として用いる。1回のみ測定した場合には、1回のみの血圧値を用いる
・高血圧患者では、自己測定が可能である限り、生涯にわたり測定することが推奨される。
治療
(1)生活指導
・塩分制限
食塩過剰摂取が血圧を上昇させることは疫学的、実験的、臨床的な多くの研究から明らかであり、高血圧の患者さんには塩分制限が非常に重要であります。現在高血圧患者さんの1日の食塩摂取量の目標は6g/日以下となっております。しかし、日本人は元々食塩摂取量が多く、現在の食塩摂取量の平均値は9g/日~11g/日であり十分な減塩が出来ておりません。当院では患者さん一人一人の食事内容を伺い具体的な指導を心掛けております。
・栄養素と食事パターン
野菜や果物に含まれるカリウム摂取により降圧効果が期待できます。ただし、腎機能不良の方などでは、カリウムの過剰摂取による不整脈を起こすリスクもあるため注意が必要です。また、コレステロール・飽和脂肪酸の摂取制限も降圧効果が示されております。
・適正体重の維持
肥満の改善により降圧効果が示されております。また、肥満は他の生活習慣病とも相関性が高いため改善が望ましいです。
・運動療法
・節酒
高血圧の管理においては、エタノールで男性20-30mL(おおよそ日本酒1合、ビール中瓶1本、焼酎半合、ウィスキーダブル1杯、ワイン2杯に相当)/日以下、女性はその半分の10-20mL/日以下に制限することが勧められております。
・禁煙
(2)薬物療法
生活習慣の見直しでも高血圧が改善しない方、合併症リスクが高い方では降圧剤を開始します。降圧剤にはCa拮抗薬、ACE阻害剤、ARB(アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬)、β遮断薬、利尿薬などさまざまな種類があります。降圧剤にはたくさんの種類がありますが、患者さんの血圧レベル・合併症の有無など総合的に判断して、組み合わせて使用します。